昨日は、タイの国王誕生日祝賀レセプション。
この国でレセプションと呼ばれるものに出席して、驚くことはいろいろあります。
もうさすがに慣れましたが、欧米の常識からも日本の常識からも相当ずれています。
まず、前に文化行事について書いた際に触れたように、「主賓」制度。
文化行事でもセミナーでもレセプションでも、必ず、王族か政府高官(内容によってレベルは変わります。ナショナルデーだと大臣。)がGuest of Honourとして出席します。Royal Galaだとか、patronであるとか、何か理由があれば理解できるのですが、特に理由もなく、必ず主賓が存在します。この主賓が到着するまで、少なくとも30分、ひどいときは1時間近く待たされるようにプログラムが組まれています。偉い人というのは、どこでも最後に到着するものなので、まぁ、30分ぐらいは我慢できる範囲ですが。
主賓到着後、行事が始まります。
スピーチがあるのは、普通。宗教色が強い行事や、ムスリム国主催の行事では、コーラン。これも、理解できる範囲。ナショナルデーであれば国歌演奏、これも別におかしくありません。そういえば、「乾杯」はありません。お酒がでないので、乾杯の音頭とか、乾杯の挨拶というのは存在しないようです。その代わりなのか、非常によく行われるのが、ケーキカット。結婚式じゃあるまいし、と思うのですが、ホストとゲストが一緒にナイフを握って、ナショナルデーの場合だとたいてい国旗を模した巨大ケーキをカット。その前を政府お抱え新聞社・テレビなどの記者が囲み、大臣などの主賓とホストの顔をアップで撮影します。そのあと、「わざわざお越しいただいた」主賓に対する記念品贈呈。この一連の流れがだいたいワンセットとなっています。最初は?が飛び交っていても、こういうものだと思えば慣れてきます。とはいえ、ケーキカットの習慣はいったいどこから来たのでしょうか。主賓は大抵が男性、ホスト側も大半が男性。そうすると、男性同士か、あるいはそれぞれの奥さんを含めた2カップルがともにナイフを手にするのですが、おかしな感じです。
アルコールはないので、甘い飲み物と食べ物は必ずでます。欧米のreceptionsのイメージは、カナッペなどのfinger foodがでる程度のカクテルか、drinksのみ、だと思いますが、ここでは違います。開催時間にもよりますが、ある程度の量(質ではなく・・・)の食べ物が当然でるもの、と期待されます。各国のナショナルデーのレセプションのような場でも、なんと、200~400人程度のゲストが来るにもかかわらず、着席で行うことも多いです。確かに、焼きそばやら野菜炒めやらの食べ物を盛った大皿を手に持ったまま立って食べるのは結構疲れます。それに、歌や踊りなどのエンターテイメントがある場合もあり、これを静かに観てもらうためには、着席にせざるを得ないというのもあります。それにしても、一言で言うと、「あか抜けない」receptionではありますが。ただ、日本人の主催でも招待状にはreceptionとあるのに、実際いってみたら着席ディナーだったという経験をしたことはあります。そのとき、同じ場によばれていた英国人の知り合いは、receptionだから、その後のdinnerと掛け持ちできると思って(しかも開始時間よりだいぶ遅れて)来たら、いきなり、席が用意されていたため面食らっていました。食べ物をたっぷりださなければ、というのはアジア的・・・なのでしょうか。
開始も主賓を待つわけですが、当然、主賓が席を立つまでは、お開きになりません。偉い人というのは、最初だけ顔を出して退出するもの、と思っていたのですが、そういうことはなく、しっかり最後までです。このお見送りをして、それに引き続き、ぞろぞろと皆が出口に向かっていきます。
郷に入っては郷に従え、ですし、欧米の習慣がスマートだと思ってしまうのも偏見になってしまうかもしれませんが、とりあえず、主賓制度とケーキカットだけはどうかと思います。
2 comments:
過去の文献を眺めると、欧米のプロトコルも割と最近(戦後)に現在のカタチに近くなったようで、主賓に対する姿勢などは、なかなか厳しかったような印象を持っています。拙だけの印象に過ぎませんが。
Spouseとしての対策も考えないとなりませんね。仕事を理由に参加を避ける、とか。
ところで、この国に居る日本のメディアは、日本に送る記事にも検閲を受けるんでしょうか? ITの世の中では規制の意味もないでしょうけど。
牧歌さん
長く英国植民地だった歴史と、Sultanの制度などが混ざってできている不思議なプロトコルなのだと思います。
日本のメディアは残念ながらいません。そういうわけで、ニュースもあまり発信されることがないわけです。発信する中身もないといわれればそれまでですが・・・。
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