Saturday, February 25

Art

 文化行事の少ないこの国ですが、昨夜は、フランス語を習っているAlliance Francaiseでのart exhibitionのオープニング。

 ダンスのレッスン後に遅れて駆けつけると、かなりの人。そんなに広いところではありませんが、一軒家で、1階部分がLibraryやラウンジスペースになっていて、そのラウンジスペースや玄関ホールを中心に絵が展示されています。artistは、フランス人ではなく、こちらでの在住が長いブラジル人女性。英国人のご主人の仕事についてきているという話でした。抽象画が中心。赤、黄、緑、黒などで、基本的には1色か2色。ときどき、植物などのモチーフが入っている作品もありました。モダンな白壁のリビングに映えそうな感じです。色はどれも少しくすみがかった感じで、好みのいい色合いです。すべてが売り物。終わる頃には、多くの作品の額に小さな丸いシールが。お値段は、500ドル前後(35000円)からいちばん高いもので1200ドル(84000円)程度。手の届かない額ではありませんが、狭い日本のおうちには少し大きくて立派すぎる作品ですし、抽象画はうちの雰囲気にもあわず、もともと印象派好みなので買うつもりはありませんでした。それでも、ゼロの数がひとつ少ないぐらいのミニサイズがあったら、考えたかもしれませんが。

 フランス語のクラスメートも来ていました。新婚の彼女は、もうじき新居に引っ越すということで、かなり真剣に絵の購入を考えていました。Mon Mariも来ているのでと、紹介してくれました。国営テレビ局でグラフィックデザインをやっていて、絵も描くartistとのこと。優しげでアート系といわれればなるほど、と納得する雰囲気を持っていました。それにしても国営テレビ局ではあまり仕事は楽しくないだろうと思えば、案の定。制限がありすぎ、自由に表現することも、新たなアイディアも受け入れられない、といっていました。ロンドンでアートやメディアの勉強をしたという彼は、いつか個展を開くのが夢。日本だったら、美術館はもちろん、小さなギャラリーもたくさんあって、この程度のスペースで新進アーティストも作品を展示する機会はあるという話をするとうらやましそうでした。

 今回の展示は抽象画。抽象画は、censorship boardからうるさくいわれずすんなり通るそう。前回の別のアーティストのときには、エンジェルがモチーフにはいっているものは外させられ、作品とはまったく関係ないラウンジのマガジンラックにあったElleの表紙が「ふさわしくない」と別の雑誌に入れ替えさせられたそうです。今回も、ブッダの雰囲気がある人の横顔を組み込んだ作品もあったようですが、許可がでないことを見越してか展示されていませんでした。

 フランス語のクラスメートいわく、実は、結構若手artistはいるのに、その作品を展示する場がないというのです。とても残念なことです。彼女が大学時代に詩のサークルをつくり、朗読、詩を作るほか、ドラマをやろうとはりきったものの、いろいろと制約を課せられなかなかうまくいかなかった話なども聞き、artに対する関心がある人が少なく、理解を示す人も少ないことを感じました。若い世代は、もっと、柔軟。フラストレーションは感じていると思います。ただ、中にいれば保障された豊かな生活。壁を打ち破るほどの勢いや情熱には欠けている、かもしれません。

 個展は10年後に、といっていましたが、そんなことをいわず、ぜひ1年以内に実現させて欲しいと思いました。

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