SEA GAMESと聞いて、最初は「海のゲーム」かと思っていましたが、このSEAはSouth East Asiaの略。要は、東南アジア地域のミニ・オリンピック。昨年はフィリピンで行われましたが、相当盛り上がっていました。トリノが閉幕したばかりですが、もちろん、ほとんどの東南アジア地域の国は、冬のオリンピックとは無縁。冬どころか、通常のオリンピックですら、出場もメダル獲得も難しい国が多い中、地域限定ならではのマーシャル・アーツやダンスなども種目に入ったSEA Gamesを目指す選手が多いのでしょう。昨年のメダルの数は1位がフィリピン、2位がインドネシア。インドネシアから、フィリピンのジャッジへの物言いがついて外交問題にも発展していました。次回開催国となるインドネシアとしては、次回の1位は絶対にうち、フィリピンに負けてたまるか、という意識でしょう。
土曜日には、このSEA Gamesのラテン・ダンスのチャンピオンのショー。もちろん、フィリピンからです。ダンスのスタジオが1周年記念イベントとして開催したパーティーです。チャンピオンのカップル以外にも、インストラクターや数人の常連生徒、それに子どもたちのパフォーマンスも織り交ぜたものでした。さすがに、チャンピオンのダンスは光っていました。censorshipがあったらとても通るはずのないセクシーな衣装、これぞラテンの血という感じのリズム感、のびやかできびきびした動き。「観せる」というか「魅せる」ことを常に意識したパフォーマンスでした。
フィリピン人にとっては、踊ったり歌ったりするのは生まれながらのもの。ダンスなどの数多くの学校では、entertainerを目指し、その技術、能力を生かして出稼ぎに行こうとするフィリピン人であふれているといいます。ダンスのインストラクターと話をしていると、日本に行きたい、とか、自分の親戚が日本にいる、とか、日本にいた、とよくいわれます。もちろん、行きたいという彼らは、自分たちの特技であるダンスなどを教えられたらよいと考えているわけですが、いわゆる「芸能人ビザ」の発給条件が人権問題への配慮から最近非常に厳しくなり、日本への入国は狭き門となっています。SEA Gamesチャンピオンのレベルであれば問題はないのでしょうが、多少踊ったり歌ったりできます、といっても、その行き着く先は水商売。こちらのように、ダンス・スタジオで教えて、たまに、ホテルやプライベートなファンクションでのパフォーマンスをする、というようなニーズはほとんどありません。それが想像できるので、「日本にいた」といわれても、向こうから話してこない限りは、何をしていたかを聞くのははばかられ、また、「行きたい」といわれても、ビザの入手は難しいと答えざるを得ません。自分のお姉さんは20年も日本にいて、日本人と結婚して離婚した、「東京」に家を持っている(おそらく、都内ではないでしょう・・・)、「ゲイシャ」のような仕事で今は「ママサン」をしていると聞いたけれどよくわからない、などといわれたときは、何と返したらよいか、悩んでしまいました。
トリノでの日本の唯一の金メダル、荒川選手のすべりを見られなかったのが残念ですが、土曜日は、SEA Games金メダリストの華麗な踊りを楽しめたのはよかったです。才能と努力の結果というのは、美しいものです。そして、それをふさわしい場所で披露できるチャンスをつかめるのは、ラッキーだと思います。運も才能のうち、といいますが。
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