Wednesday, February 22

メダル授与式

 形式的なセレモニーが大好きなこの国。

 国王の59歳の誕生日(といっても、それは去年の7月15日ですが)にちなんで、いわゆる叙勲が行われています。その数のすごいこと。3日間にわたる授与式の1日目だけで654個。皇太子が代理で渡していますが、渡して握手するだけでも、結構な重労働でしょう。日本でも、勲章はありますが、功績を調べ上げて、選ばれた人のみ。最近は、特に外国人を中心に条件も緩和されてきていますし、国民栄誉賞など、異なった性格の賞もいろいろありますが、一般的に「叙勲」といえば、そろそろ差し上げておかなければというお年になっている人が対象。3年程度在勤した外交官への儀礼叙勲なども廃止されているので、そう簡単には対象にもなりません。ところが、ほとんどが公務員のこの国で、公務員を対象にメダルを授与。少し長く勤めた程度で渡すので、対象者の数がものすごいわけです。

 授与式の日程が何度も変更になり、急遽代役で、1日、その授与式に参列することに。ドレスコードは、マレー伝統のダーク・スーツまたはラウンジ・スーツ。といっても、外国人男性は、普通のスーツで済むのですが、女性は、くるぶしぐらいまであるロングスカート(パンツ不可)、ジャケットなどの長袖で、黒、といわれたので大慌て。まるで、お葬式の装いです。最悪は、濃いグレーぐらいまでは許されるようだったのですが、結局、同僚に借りてすませました。この、伝統的な正装、というのは、男女ともにベースは黒。軍などの制服以外の人は皆、黒です。それに、男性は、渋めの金色系の腰に巻く布、女性は同じ布を胸元辺りからぐるりと巻き付けています。女性のバジュクロンやチュドン(スカーフ)も黒ですが、これは、ビーズ入り、光沢のある素材などの人もいて、意外にバラエティに富んでいました。巻き付ける布のパターンや色には、なかなか素敵なものもあり、くすんだ金色、榛がかっていたり、模様部分に赤や緑などが使われていたり、日頃のとにかく派手な金や赤とはひと味違います。ショールやテーブルセンターにしてもよさそうな感じです。ひたすら、名前を呼び上げて渡すだけの式で、柱の陰で皇太子の顔も見えないし、もっぱら、この布の観察に終始していました。

 流れ作業のように進んでいく授与式。ふと思い出したのは、ケンブリッジでの卒業式。黒のスカートと白のブラウスか黒のワンピース、靴も黒、などと指定され、黒いガウンを着て皆でSenate Houseで卒業証書を受け取るために並んだ姿が、まさに同じ感じ。

 もとは、英国植民地。英国以上に、階級、勲章、儀礼などが根強いところなのだということを、いつも感じてはいましたが、再認識させられました。

2 comments:

Anonymous said...

2003年、Investitureに参加したことがあります。誰のものであるかは、お察しの通りです。2002年、2001年はいろいろありましたからねえ。メダルよりも給与を上げてもらいたいものです。

chestnuts said...

牧歌さん
そういえば、そうでしたよね! 確か、何かのファンクションにつけていらして、拝見した記憶があります。おっしゃるとおり、メダルよりもお給料というのには、賛成です。