Monday, March 13

ICT

 先日、ICTの技術者の方と話す機会がありました。
 中国系でカナダで学んだという彼は、おそらく、この国では貴重な存在。一応、公務員なのですが、仕事の中身のせいか、民間的な雰囲気や発想も感じさせます。完全な技術屋さん、なのだと思いますが、まさにこの国の情報技術の専門分野を担っている人、のようでした。

 今の時代、ICTを進めていかなければ取り残されます。政府の発表すること、やることは、常に後手、いったいいつになったら物事が進むのかという感じですが、ICTの分野は、ビジネスが中心。ビジネスは周囲の国や国際社会の動きに敏感。ビジネスが動いていき、それに政府がくっついてきているという印象です。以前書いたとおり、電話などのインフラ整備はまだ不十分。第三世代携帯電話は発売されても、コンテンツがないという状況です。まともな地図すらないので、もちろんGPSは存在しません。それでも、ネットの普及率は高く、新しいもの好きの国民性、ローンを組んでまで最新携帯を購入する人たち。

 最近は、e-governmentを目指して、IT研修なるものをあちこちでやっているようです。これは、日本で、ワープロからパソコンに変わった時代に行われたようなものと同じなのか、中身はよくわかりません。「イット」と読んでしまう人はさすがにいないかもしれませんが・・・。

 前に、アフリカへの支援で、PCを大量に持っていったところで、そのままでは「ただの箱」になってしまってムダという話をよく耳にしました。ICTと騒いで、とりあえず、ハードが欲しいといわれて贈ったところで、結局、ソフトを使いこなす方法とその管理・維持までしっかりとフォローしていかなければ、すぐに役に立たなくなってしまいます。これとはだいぶ事情が違うお金持ちの国。すでにたくさん、「箱」はあるはずですが、それをどのように利用していくかという問題でしょう。

 情報社会といわれる現在、情報はあふれていて、必要かつ正しく価値のある情報をいかに迅速に入手するか、また、数ある情報から選択していくか、です。情報に踊らされないためには、最終的にはその情報を使おうとする人の判断にかかっていると思います。情報が自由ではなく、制約されているこの国で、ビジネス主導のICTの広がり。政府として禁止したものが、すらっと入ってきてしまう可能性や、禁止されている「集会」がネット上で行われる可能性なども高まります。どういう形で情報をコントロールしつつ、ICTを進めていくのでしょう。この国の目指すところ、というのはよくわかりません。国是に掲げるマレー・王政・イスラムを遵守し、なるべく変わらずに周囲にあわせていくというスタイルを維持し続けるのでしょうか。

No comments: